![]() どうするー隊長ぅー(某金貸しのリズムで。 以下、帝都異変サイドB。 ![]() 宰相室は漫才部屋。 ![]() とまぁ、信じられないことに慰安旅行の許可が下りてしまった私たち帝都防空飛行隊は、ローランのリューキュウに3泊4日の旅にきていたのでした。本当に信じられない、移動時間を省いてもお休みが2日以上あるなんて。 しかも目の前に広がるローランの海はまさに楽園。ちょっとジリジリ日差しが痛いけど、こんなに澄んだ海は見たことがない。帝国に面したルージア海は流氷漂う極寒の地なので、尚更そう思えて感動も倍々だ。 「まったく馬鹿げてる。巫山戯ているにも程がある。あのハゲは乱心したのではないか。……いや、そうか。分かったぞ。これは我らに海上訓練を積めという―――」 「イェリコ隊長。残念ながら、ないです」 「ならば敵は何処だ。そうか海の中か。なるほど、極東の変人共が手を焼く海蟲どもを掃除しろとそういうのだな?」 「イェリコ隊長。残念ながら、完全に完璧に、今回はオフです。お休みです。だいたい武器持ってきていないですし」 「ならば私は誰を撃ち抜けばいいのだ!! それに我らが居なければ、誰がグレートウォールと帝都の空を守護するッ?!」 「帝都は兎も角、グレートウォールはルフトバッフェが穴を埋めてくれると聞いてますが」 「…帰るぞ。即帰る。いますぐ帰る」 「切符がありません。隊長に到っては、こんなこともあろうかと、義翼もありません」 「ならば泳いで帰る!!」 ……若干一名、まったくバカンスの空気を読めていない戦争狂がいらっしゃいますが。みんな水着なのに一人だけ頑なに飛行服のまま砂浜に仁王立ちしていま すが、今回ばかりは私もフォローに回る気はありません。だって隊長に付き合っていたら、説得だけで折角のお休みが全部潰れてしまいそうだし、可哀想だけど 副隊長に頑張ってもらうとするのだ。 まったく、休めるときには休めばいいのに。本当に戦争バーカなんだから。……どうでもいいけど、隊長は泳げるのだろうか。なんか無茶苦茶金槌臭がするんだけど……あ、でも海底要塞とかで指揮取ってそうなイメージは何故かあるなぁ。 「レイリー。それー、早くわろーよー」 「ん。あー、そうだね」 シャムレットが急かすは、ローランの海のお約束らしい「スイカ割り」という遊びである。目隠しをして、ぐるぐる回っていい感じに方向感覚が狂った後 に……ショットガンで置かれたスイカを頑張ってぶち抜く…というか粉砕する、という遊び――――らしい。 「……なんか、本当にあってるのかなぁ。それで」 「らふぃへぇふよ。しゃらひがこきょーでひーらはらしりゃと」 噂元のハブが、海の家で大量に買った料理の一つ、焼きそばをずるずる頬張りながら口を開いてきた。そして「……こりゃっぽふで、あふぁにおいひくりゃ い…」とちょっと不満気味の感想を漏らしつつ、口はもごもご動いたままだ。あーうん、とりあえず食べてから喋ろうね。 まぁま。そんなこんなで、私たち帝都防空飛行隊は(約1名とそのフォロー1名を除いて)、思い思いに楽しんでいるのだけど。 「――――――…んー。というか……はて?」 なにか忘れている気がしないでもないのだけど、それが何なのかをどーしてか思い出せない。 そんなとき、ピアチェーレが何故か印象深くニヤリと笑って。 「だってアイツ、すっごく盛っててウザかったんだもん☆」 と、ウィンクした。 それを聞いたロッサが「あー…かわいそーにねー、犬チン」と言ったのだけど。 んんー…? … バロック建築が威風堂々と居並んだ城塞都市たる帝都ニーベルンゲには、今日も冷たい風が吹く。 それはニーベルンゲにある飛行場とて例外ではない。 いや、彼にとってみれば、いつもの何でもないこの風はまさに絶対零度、ひと撫でされれば肌が一瞬で凍り付いて腐り落ちるほどの寒さに違いなかった。ただ、それを感じとっているのは青年の肌ではなく、心と言うだけの話だ。 「……あれ、ハルキヨ? お前なにやってるんだ、こんな所で? 防空隊っていまたしかローランに…」 「――――置いてかれた…」 「あ?」 「嘘の集合場所に嘘の時刻、嘘の予定表……フ、アハハ。さすがっスよパチェ姐さん……さすがマイ女王様……パネェ……期待に火照った心が、一瞬で、永久凍土みたいに、凍っちまったぜ……」 マントの彼はそう呟いて、くるりと踵を返し、一人空へ飛び立つ。 「おい、何処行く気だ?」 「ヘヘ……リューキュウの日差しを舐めたらいけねェ……素人が何も知らねェで、何も対策せずにいたら、その日の晩はあっという間に死亡フラグさ……。だから、オレ、いかねェと…」 その傷心しきった顔は、それでも悪ガキみたいに真っ直ぐで一途。 だからそんな彼を前にした男もまた、一人の男としてその背を見送ることにした。 「………そうか。頑張れよ」 「ああ…」 そうして一人のパイロットに見送られて、マント一枚はためかせて、ハルキヨは東の空へと飛んでいったのだ。 完。 参照:帝都防空飛行隊/イェリコ/レイリ/ハヴ/シャムレット/ゼッケ/ノイン/ピアチェーレ/ハルキヨ/ロッサ/ツィダ/ジョーヌ ギーレン・ジ・エントリヒ/スィルトネート/アースラウグ/プロミナ/ベルゼリア/カッツェルト |
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